harunoame

情報学と映画とアニメと本の話

西洋の民族衣装(松濤美術館 アンティークレース展)

もう随分と前のことになってしまうのですけれど、アップリンク渋谷に「ガザの美容室」を観にいった日に、松濤美術館に寄ってみました。

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高貴な方々の愛用したレースのヴェールやドレス、ボウタイが、それはそれは緻密で繊細で、とても素敵だった…。つややかな漆黒のヴェールがあって、白い肌に淡い髪色の乙女がかけたなら、それはもううっとりするほど美しかったに違いないと思いました。

私はアンティーク・レースといって王侯貴族の豪奢な装飾という印象がつよくて、まあその通りなのですけれど、今回見た展示では、レースとキリスト教の関連をとても大切に扱っていました。勉強になったと同時に、レースへの印象がすこし変わりました。

レースの制作は修道院のシスターによるもので、真っ白なレースを美しく編むことは神の国へ逝く修行のような、祈りのような側面があったそうです。それが高値で取引されていたということなのだそう。

その後、レースは一般家庭の手仕事として広まり、生まれてくる子のおくるみを、子を慈しむようにひと鍵ずつ編んでいく習慣があったとの記述もありました。

祈りを込めて装いを整える。華やかな貴族の装飾という一面だけではなくて、信仰や生活に根付いた、民族衣装に近い性質をもったものだということを、強く感じました。

世界中で近代化を推し進めた西洋のことは、なんとなくあの文化が「スタンダード」みたいに思ってしまって忘れてしまいがちなのだけど、西洋の民族性、西洋の民族衣装のようなものが在るというあたりまえのようなことを感じた展示でした。

時間が許せば、もうすこしゆっくりみたかった。

すべてを見たるひと

読み終えました。

英雄ギルガメシュと彼のために造られたエンキドゥ(という設定が既にたまらなく素敵)が大変イチャイチャしているらしいと、邪なたのしみを以て臨んだのですが、いちゃいちゃは大部分が散逸していてるようでした。もうすこし二人の会話が残っていれば読みたいのになあ。

ギルガメシュとエンキドゥが闘って、エンキドゥがギルガメシュに「お前の母はお前を第一の者として生んだのだ」と述べる場面はときめきました。野の人が王を諫める、美しい場面ように思えました。それから、矢島訳の本文にはなかったけれど、スルタンテペ書板 にはエンキドゥの死に際してギルガメシュが嘆き「お前のために泣け(lib-ki-ka=lu ibki-ka)」というフレーズが繰り返される、という解説がこころに染みました。

エンキドゥはそんなふうに大切にして、旅や冒険を共有するギルガメシュが、女神イシュタルの求婚をこっぴどい感じで撥ね付ける辺りもなんかこう、胸に訴えるものがありました。

他に、岩波書店の月本昭男訳があって、そちらは現存の書板すべてを訳したものだそう。まだ見ぬギルガメシュとエンキドゥを求めて読もうと思います。

ギルガメシュ叙事詩 (ちくま学芸文庫)

ギルガメシュ叙事詩 (ちくま学芸文庫)

ものすごく不埒な感想を書いた。

チューニングが下手過ぎる

ある大学の情報学メディア研究科の説明会に参加して概要を聴いてきたのですけれど、ある先生が私に「土曜日が仕事では取れない単位があるね」と心配してくださったので、私は「派遣なので!もうすぐ3年満期でクビになりますので!次は土日休み探します!」とざっくばらんに答えたら、なんかどん引きしていらしたように思えて、反省している。やだわ。...オープンハートし過ぎたわ。

これを帰りの電車でずっと反省していて気が付いたのは「3年満期でクビになる」という言い草に、現行制度への不満が滲んでしまったので先生も困惑されたのではないかしらという推測。これはほとんどやつあたりのようだった。かも。

私は、大学院にいたころ山月記の李徴のように心を閉ざしてしまったことを今でも悔いていて、今回は、こんどこそ...という気持ちがありました。(言い訳)

学校で専門知識を学ぶということは、積極的に指導教員の意見を求めるということだと思いました。そのためにも自分の考えや状況を億さず話して、先生から有益な知識を引き出さなければなりません。

黙っている去るということは、指導を受ける機会を放棄するということに等しい。私はこんどこそ、先生がたにオープンハートで臨もうと思っていました。

けれどなんか、オープンにする方向性を間違えたんだ。ごめんね、先生。

私は人間である。およそ人間に関わることで私に無縁なことは一つもない。

読了。

さらさらと軽く読みやすい本だった。けれど文体も物語も、思想も、神秘と文明の在り方も、読みやすさをはるかに超えて含蓄のある本だった。とても好きだった。こういう本を読むために、本を読むのかもしれないと思う。

村田エフェンディ滞土録 (角川文庫)

村田エフェンディ滞土録 (角川文庫)

ことばの意味、行動の意味

放ったらかしていたアニメ「ひそねとまそたん」を観終わりました。

おんなの子がかわいい。竜もかわいい。かわいいかわいい。中国古来の龍というよりはドラゴンの竜に近い、鬚のないまるっこいからだで可愛いかわいい。自衛隊で竜で神事で、日本を鎮護する壮大なファンタジー設定ですが、物語はコミュニケーションを主軸に置いていて、地味めなアニメだったと思います。そこが好きでした。ポップでおんなのこ可愛いEDがよく合ってたのも、そこに寄るのかなあと思います。

ひそねさんは素直で嘘がつけなくて思ったことを全てことばにする、というキャラ設定なのですが、素直というのとは少し違う。ことば過剰な人で、言葉にせずに行動で示すタイプのコミュニケーションが一切理解不能なんだと思いました。だから、あの人どうしてあんなことしたんだろう、どうしてあんな態度をとるんだろう、と他の人なら言葉にしないような無神経なことも、すべて言葉にして意味を考えるしかない。

ひとの行動に疎いから、じぶんの行動の意味にも疎くて、例えば大切にするつもりで手を引いたとしても、その行動は拒否を意味する、というのが読めません。そういうところも終始一貫したキャラクター設定だったと思います。
疎いから、ことばをもたないまそたんに応えるための行動が体当たりで不細工なのはたぶん意図的な演出で、すごいペロペロっぷりで絶えず伝えようとするの、とてもかわいかった。

ひそねさんは失敗して他の人をがっかりさせたと気が付いたら、誤解をほどくため必ずことばで説明します。それしかできない人だから仕方がないのですが、ほかの人にはそれができない、のだよなあと思う。柿安飛行班長とか、とくに。誤解があって拗れた状態では行動を読み違えてしまうから、ひそねさんのことばにすることを惜しまない嫌がらない性質が、力技で誤解をほどいていく。

ことばと行動がコミュニケーションの両輪でなんだなーと、観ながら思った。そういうアニメでした。

主題歌かわいいので欲しい。OP も、EDも。

Mamihlapinatapai をあなたといつか。

体の調子がおかしくて1週間の夏休みを殆どぼんやり寝過ごしてしまったので、感覚を取り戻すようなつもりで軽めの本を選びました。各国の言葉を著者の感受性で葉書にしたような本なので、詩画集みたいでした。

きになった言葉をメモ。

  • जुगाड़(ジュガール) ヒンディー語
    最低限の道具や材料で、とにかくどうにかして、問題を解決すること。
  • שלימזל(シュリマズル)イディッシュ語
    不運としか言いようのない人。
  • Mamihlapinatapai(マミラピンアタパイ)ヤガン語
    同じことを望んだり考えたりしている2人の間で、何も言わずにお互い了解していること。(2人とも、言葉にしたいと思っていない)
  • يقبرني(ヤーアブルニー)アラビア語
    直訳すると「あなたが私を葬る」。
  • Warmduscher(ヴァルムドゥーシャー)ドイツ語
    ぬるいシャワーを浴びる人。「少々弱虫で、自分の領域から決して出ようとしない人」
  • Waldeinsamkeit(ヴァルトアインザームカイト)ドイツ語
    森の中で1人、自然と交流するときのゆったりとした孤独感。
  • कल्प(カルパ)サンスクリット語

不運としか言いようのない人、ってなんとなくロマンティック…素敵。

翻訳できない世界のことば

翻訳できない世界のことば

時のながれに置いてゆかれるヲタク

甲さんと乙さんのカップリング表記について “甲乙甲” と “乙甲乙” の違いを教えてほしい。そもそも甲乙甲てなに。リバなの…?*1

*1:赤安 は検索しやすいんだけど、風降は 風降風、降風降 表記が多くて検索難しいです、という話。